隣地承諾書がいらない農地転用|自治体別の運用と取得方法
農地転用の申請では、自治体によって「隣地承諾書」の提出を求められることがあります。 ところが、これは必ずしも全国共通の義務ではなく、自治体ごとに判断基準や運用に差がある書類です。 場合によっては、隣地承諾書がなくても農地転用の許可が取れるケースもあります。
本記事では、隣地承諾書の法的位置づけ、不要とされるケースの具体例、そしてどうやって取得すべきか(取得方法)まで詳しく解説します。
隣地承諾書は法律で義務なのか?
結論から言えば、隣地承諾書は農地法における法定提出書類ではありません。 つまり、絶対に添付しなければならない書類ではないということです。
農林水産省が発出した「農地法に係る事務処理要領(令和2年4月1日改正)」の中では、以下のように記載されています。
「その他参考となるべき書類(許可申請の審査をするに当たって、特に必要がある場合に限ることとし、印鑑証明、住民票等の添付を一律に求めることは適当でない)」 出典:農地法に係る事務処理要領(令和2年4月1日改正)
この記述は、印鑑証明や住民票などの添付を一律に求めるべきでないという趣旨ですが、隣地承諾書もこれと同様、「常に必要とは限らない補足資料」としての位置づけに留まると考えられています。
隣地承諾書の取得方法
① 隣接地の所有者を調べる
まず、隣地の地番を調べます。 住所と地番は異なるため、正確な地番を知るにはブルーマップ(住宅地図+地番付き)が有効です。 これをもとに、法務局で登記事項証明書(登記簿)を取得します。
登記簿には以下が記載されています:
- 所有者の氏名
- 所有者の住所(登記上のもの)
- 持分割合(複数名義の場合)
これにより、隣接土地の正確な所有者を把握できます。
② 隣地承諾書の文面・添付資料の準備
隣地所有者が分かったら、次は書類の準備です。 いきなり「サインください」では了承されません。相手の立場に立って、信頼感と納得感を与える資料作りが大切です。
■ 必須の書類セット
- お願い文(依頼文)
→ なぜこの承諾が必要か、どんな転用計画なのかを簡潔に、丁寧な文体で記載します。 - 隣地承諾書(署名・押印欄付き)
→ 市販のフォーマットでも可。できればA4一枚で完結させる。 - 転用予定地と隣接関係がわかる図面
→ Googleマップ+地番表記、または簡易区画図でも構いません。 - 土地利用計画書(簡易版)
→ 工事の概要(整地、資材置場、排水設備の有無など)を箇条書きや図面で簡潔に説明します。可能であれば排水方向や設備配置図も添付すると丁寧です。 - 返信用封筒(切手付き)
→ 押印後すぐ返送してもらえるようにしておくと、相手の負担を減らせます。
相手に「これは信頼できる内容だ」と感じてもらうために、手間を惜しまない準備が重要です。
③ 必要に応じて面談や説明
高齢の方や法人名義などで慎重な対応が必要な場合は、事前に訪問して説明することもあります。 行政書士が同行し、丁寧に・明確に・誠実に説明することで、協力を得やすくなります。
なお取得後に隣接地が「お隣さん」になることを考えると申請者本人も同行して説明する方が今後のトラブル回避につながると考えています。
④ 書類の回収と確認
署名・押印された隣地承諾書が返ってきたら、以下を確認します。
- 日付が記載されているか
- 押印(原則実印、自治体によっては認印可)
- 必要に応じて印鑑証明書の添付
隣地承諾書が不要と判断される例
次のようなケースでは、隣地承諾書の提出が不要とされる可能性が高いです。
- 排水の方向が公共側(道路側や側溝側)に向いていて、隣地に流れない構造である
- 接道・出入口がすべて自己所有地内で完結している
- 計画地と隣地の間に明確な構造物(塀・擁壁等)がある
- 転用内容が軽微(資材置場、太陽光パネル、農業用倉庫等)で、周囲に影響がないと判断される
申請前に自治体の農業委員会や農政課に相談しておくことが、トラブル回避にもつながります。
まとめ
隣地承諾書は、農地転用申請において原則必須ではありません。 しかし、排水や接道の条件によっては求められることがあります。 必要になった場合も、所有者を適切に特定し、信頼感のある資料と丁寧な説明で依頼すれば、多くの場合で了承が得られます。
判断に迷う場合は、行政書士などの専門家に相談して進めるのがおすすめです。
依頼内容 | 報酬額 |
農地法5条許可 | 100,000円+実費(住民票や登記事項証明書取得など) |
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