法人でも農地は使える?農地所有適格法人の条件と認定農業者との違いを解説

「会社で農業を始めたい」「法人で農地を借りて活用したい」と考える方が増えています。しかし、農地の取得や貸借には法律上の制限があり、誰でも自由に農地を利用できるわけではありません。

この記事では、農地所有適格法人の仕組みや認定要件、認定農業者制度との違いを整理しながら、法人が農地を活用するために必要な知識を解説します。


法人が農地を使うには制限がある

農地法第3条により、農地の所有や借受けは原則として農業を営む個人が対象です。株式会社などの一般法人が農地を取得・借受けすることはできません。

ただし、一定の要件を満たす法人は「農地所有適格法人」として、農地を利用することができます。これが法人にとって農地を扱うための事実上の“入口”となります。


農地所有適格法人とは?

農地所有適格法人(旧・農業生産法人)とは、農地法に定められた特別な法人形態で、農地の取得・貸借を行うことが認められた法人です。2016年の法改正で制度が再編され、名称や要件が整理されました。

農地の効率的な活用、地域農業の維持、法人経営による担い手確保を目的としています。

なお、農地所有適格法人になるために、事前に「認定申請」や「登録制度」があるわけではありません。農地法第3条許可の審査の際に、その法人が「農地所有適格法人の要件を満たしているかどうか」がチェックされる仕組みです。そのため、農地の取得や貸借を希望する法人は、事前に体制を整えておくことが非常に重要です。


農地所有適格法人の主な要件

以下の3点が制度上の柱となっています。

1. 事業要件

  • 主たる事業が農業であること(生産・販売・加工等を含む)
  • 他事業(福祉、飲食など)を行っていても、農業が収益の主軸であること

2. 議決権要件

  • 総株主の議決権の過半数を農業従事者や農業に常時従事する役員が保有していること
  • 出資者の影響が強すぎないこと(経営の自立性確保)

3. 役員要件

  • 役員の過半数が年間150日以上農作業に従事していること

これらの要件を満たしたうえで農地法第3条の許可申請を行い、許可権者(市町村や農業委員会)によって適格性が認められれば、農地の取得や貸借が可能になります。


認定農業者との違いは?

ここでよくある誤解ですが、法人が認定農業者になるために、必ずしも農地所有適格法人である必要はありません

認定農業者制度の目的は「計画的で持続可能な農業経営者の育成」です。農業経営改善計画の内容が合理的であれば、法人形態や適格法人の要件を満たしていなくても認定される可能性はあります。

ただし、認定農業者として農地を自社で所有・借入して利用したい場合には、農地所有適格法人でなければならないため、実務上は両制度をセットで進めることが多いです。


活用のメリット

農地所有適格法人になることで、法人ならではの経営の自由度が高まります。

✅ スケールメリット

  • 機械投資や人材確保、事業の拡張が容易に

✅ 農地の集積・集約が可能

  • 地域の遊休農地を効率的に活用できる

✅ 各種補助金の対象に

  • 「強い農業づくり交付金」など、法人向け制度が豊富

✅ 雇用型農業の実現

  • 正社員やパートを雇用しやすく、地域の雇用創出にもつながる

法人が農地を利用・経営するための実務的な流れ

  1. 会社の事業内容と定款の確認(農業が主事業として規定されているか)
  2. 役員・株主構成の確認(議決権や農作業従事日数が基準を満たしているか)
  3. 農地所有適格法人の要件に合致する体制を整備
  4. 農業経営改善計画を策定(5年間の目標や体制を明確化)
  5. 農業経営改善計画の認定申請(認定農業者)
  6. 農地法第3条許可の申請(この時に農地所有適格法人の要件審査が行われる)

※農地所有適格法人になるための“申請”はありませんが、農地取得を希望する際の農地法許可審査の過程で、これらの整備ができていることが前提となります。


添付書類の例

  • 法人登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
  • 定款(最新のもの)
  • 株主構成表・役員名簿
  • 農地台帳・利用契約書類
  • 決算書(過去数年分)
  • 農業経営改善計画書

行政書士ができること

  • 定款の見直し、目的の追加・修正案作成
  • 議決権・役員要件のチェックと調整アドバイス
  • 経営改善計画の作成支援
  • 農地法許可申請書の作成と書類一式の整備
  • 地方自治体や農政局との事前協議の代行

まとめ

農地を法人で活用するためには、「農地所有適格法人」としての体制整備が基本となります。そして、認定農業者制度と合わせて申請することで、補助制度や支援策も有利に活用できます。

制度の違いや条件の整理に不安がある方は、書類作成の専門家である行政書士にご相談ください。当事務所では、農業法人の設立から認定申請、農地法許可取得まで一貫してサポートしています。

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